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白生地を生かす匠

至高の型友禅

vol.11 川端型友禅染工房

深い個性

フォーマルから小紋まで、川端さんの型染着物にはちょっと他所にはない特有の味わいがあります。見るうちにじわりとこちらの染めだと分かるような個性です。地色や型の絵柄、その配色の加減、また、吟味された柄の配置など、それらが総合的におりなす持ち味としか言いようのないもので、多いと言われるファンの目から見れば、ひと目で分かります。

決して華美に過ぎないよう、ひとつ抑えられた色使い。主張し過ぎない柄ゆき。絶妙に抜かれた白場。そして、そのどれもが例外なくほんのりと明るい華やぎを放っています。三代にわたってぶれることなく伝承されてきた職人の技と感性が、この深みのある個性を積み上げてきたのです。ここまで一体どれほどの生地を染めてこられたのでしょう。量をこなしてこそ磨かれる技、練られる感性の結実がここにあります。

ひと色抑えた色調で

バランスよく抜かれた白場(襦袢)

職人の気概

板場にまっすぐ正確に張られた白生地。板の両脇と上に置かれる型には「星」と呼ばれる点状の穴があり、そこを合わせて突き針を刺します。そうして固定した型紙の上から刷毛やヘラで染料を摺り込んでいくのが型友禅の技法なのですが、13mを超える生地上でこの作業を何度も何度も繰り返すのです。また、星がわずかでもずれると柄が大きくずれるのだそうで、その点にも細心の注意が必要となります。ひと色ごとに型紙を変えていくため色の数だけ手間も増えます。その労力を想像してみて下さい。二色や三色でこの華やぎは出せません。熟練度と同等に気の遠くなるような根気も要求される作業なのです。色数を減らして手間を落とす選択肢は川端さんにはありません。

「お客さんに喜んでもらわなあかん」。すべての仕事がこの言葉に集約されているのです。細部に目をやると、小さな絵柄の中に、目を凝らさないとわからないようなボカシが施されています。「この方がいい」で入るひと手間なのです。良かれと思えば手を入れる。そこには、労を惜しまず、より良いものを追求する職人の気概が溢れています。

カチン摺りはすった墨で
突き針を刺した型紙の上から摺り込む

選ばれる古典

長い長い年月をかけ、多くの作り手、職人たちの手によって古典柄は少しずつ顔を変え、洗練を重ねてきています。その滋味深さが好まれ、現在も盛んに染めの題材に選ばれます。川端さんの型染めは、そんな古典柄を中心にアレンジされています。全般に角のとれたような印象があって、見る目に刺さるようなとげとげしい箇所は一切ありません。随所に可愛いらしい柄も置かれ、それが考えぬかれた色調とも相まって、目になじむ優しさを生んでいるのです。
世に言われる「志ま亀カラー」として、大きな支持を集めていらっしゃいます。

ご使用いただいた生地はコチラ

伊と幸の国産糸松岡姫使用の無地縮緬

松岡姫 幸波縮緬

長く染めて頂いている生地は、幸波縮緬という表面のシボ(凹凸)をおさえた変わり一越で、無撚の経(たて)糸がほどよい光沢を見せる無地縮緬です。緯糸(ぬきいと=横糸)には純国産糸松岡姫を使用しています。
品番 / 5925NK0001

川端型友禅染工房

京都市下京区大宮通り高辻上ル
(五坊大宮町87-2)

TEL 075-841-1715