白生地を生かす匠

百鼠の粋美

vol.4 日本刺繡 露草 三原 佳子


「日本刺繡 露草」主宰の三原佳子(みはらよしこ)さんは、日本刺繡の基本の技法から絞り込んだシンプル表現方法で、今のくらしや心もちに沿うものを制作したいとおっしゃいます。

いつも心がけておられるのは、素材感の取り合わせの面白さと色調の微差の拘り。日本刺繡というジャンルであっても、一線を画す数々の作品たち。

オリジナルな加工を施した金属箔の布帛(ふはく)などを用いた切嵌め繍を主とされ、弊社の紬地を長くご愛用頂いております。

さりげなさの中の美 <紗紬地箔布切嵌繍刺繍間道京袋帯>

自ら箔加工を施された部分と、格子の紗の部分は、実は同じ紗紬素材を使用されている部分もあります。
素材の持つ可能性と表現力にハッとさせられます。
「鈍白銀色」と表現される、拘りの箔の色。
一針一針に心のこもった美しい間道の切嵌刺繍が、さりげない存在感を放ちます。

シンプルな日本刺繍 <生紬地箔切嵌繍半幅帯>

モダンでスタイリッシュな柳鼠の半幅帯。
切り抜いた布に、違う布を嵌め込んでいく切嵌加工。
決して派手ではない、こだわりの錫箔の切嵌繍が、鈍びやかに光っています。
紬の素材感を楽しめる、面白い作品になったと三原さんはおっしゃいます。

感性の直線美<生紬地墨紫箔布切嵌繍破れ格子裾模様 付下>

特別過ぎないこと。目立ち過ぎないこと。
きちんと感もあること。長く飽きないこと。
和と洋の境が少ないこと。現代の心もちにそぐうこと。
全ての作品に、三原さんが心がけていらっしゃることです。

裾模様に施された破れ格子は、潔い直線の切嵌加工によるものです。
感性の直線美に、着る人の背筋も自然と伸びそうな作品です。