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白生地を生かす匠

60年の手技(てわざ)

vol.6 伝統工芸士 志賀 豊

京友禅の金彩伝統工芸士、志賀豊先生。
卓越した技術を生かしてご活躍されています。令和二年の秋には瑞宝単光章を受章されています。

志賀先生は、15近くある友禅加工工程の最終段階における金彩加工がご専門です。
0,05ミリの極細の金線で家紋や幾何学模様を繊細に、また優美に描かれる技術には目を瞠らされます。
近年では2019年春にオープンした、ホテルヴィアイン京都駅八条口様に導入されたヘッドボード用ガラスなども手掛けて頂きました。

卓越された技巧で描かれる極細の金線

筒先
ホテルヴィアイン京都駅八条口 ベッドヘッドボード

作品展への出展も多く、手描友禅作品展、工芸染匠作品競技会でともに経済産業大臣賞を受賞されています。
長年の功績が評価される伝統産業技術功労者「京の名匠」でもあり、工房でのお仕事のみならず京都伝統工芸などで講師をつとめられたり、後進の育成にも励んでおられます。

華やかさを添えて

訪問着には御戸代(みとしろ)という、少しつやのある無地意匠縮緬が使用されています。
松の部分は箔くくりと金くくりの併用での仕上げです。箔くくりとは金彩加工のひとつで、模様の輪郭部分に金箔、銀箔の線を描いていきます。箔を施すことで紋様に奥行きと華やかさが添えられます。
一方、金を用いる箔くくりを金くくりと言います。竹と笹の部分が金くくりになっており、山の部分は本金の砂子ぼかしで仕上げられています。


箔くくりと金くくりで奥行きと立体感のある表現に

極細のきわみ

二本の染帯には五泉の塩瀬が使われています。
まず壺の形にうすく糊をひき、上部の茶色の部分は網おとしという技法で色をつけます。その上に波紋を盛り上げていき、金泥と銀泥のぼかしをおこなっています。盛り上げとは画面上で乾いていない絵の具の上に、さらに重ねて描く技法のこと。盛り上げ技法で繊細な糸目状に生地目を残して模様を表現する地割技法を見事に施されます。
もう一本は、箱の形に糊をひき、網おとしで全体の色をつけます。側面は砂子でぼかし、型で模様をつけ、縁と斜線を筒描きでおこし仕上げています。
訪問着と帯、いずれも繊細で上品な仕上がりで、極められた手仕事の技が伺えます。

ご使用いただいた生地はコチラ

染帯の代表と言える駒塩瀬帯 五泉製

駒塩瀬帯地

染帯の代表的な生地であり、塩瀬羽二重の略で、厚地の羽二重のことです。経糸を密にして太い緯糸を打ち込んでおり横畝が現れた平織の織物です。
発色がよく、張りがあって軽くよく締まります。
品番 /3115IG0750

京友禅の金彩伝統工芸士 志賀 豊(しが ゆたか)

2020年 瑞宝単光章受勲
京都市伝統産業技術功労者
近年では、着物の加工に留まらず京都国際会館特別室の建具装飾の一部や、市内ホテルの客室装飾なども手掛けており、新しい分野においても活動域を広げている。

https://www.instagram.com/kyoto_meisyo0212