vol.2 細井 智之
白生地を生かす匠
端正と大胆
vol.2 友禅師 細井 智之
2010年に、著名な日本画家・加山又造氏のご家族からのご依頼を受けられて以来、同氏の図案による復刻着物を制作されるなど、鋭意ご活躍中の手描き友禅師、細井智之(ほそいさとし)先生です。
2017年「生誕90年 加山又造」展や2018年「Re又造」展に、次々と出品され好評価を得ておられます。着物や帯のお誂えをはじめ、企業やデザイナーとのコラボレーション、教育機関や産業観光のプロジェクトなど、手描友禅への興味・理解を深めることを目的として様々な活動を行っておられる伝統工芸士でいらっしゃいます。
地白の桜模様が美しい、純国産絹のお振袖
丁寧な手仕事、心を込めた作品作りで知られる友禅師細井智之先生ですので、必要とあれば、ご依頼主様(ご発注者のお客様)と共に、弊社にお越しになり自ら白生地を選ばれます。
細井先生のご助言のもとに、お客様ご自身も数ある白生地を手に取られてご満足なご様子!
友禅紋様のモチーフや、地色と挿し色との取り合わせに、生地の光沢や色映えがどうかなど、ご相談されながら、白生地からこだわった、丹念なお誂えを実践しておられます。
ここではその一例をご紹介します。
伊と幸が国内の養蚕農家と契約し繭生産している、純日本の絹「松岡姫」。上質な生地です。
紋意匠ちりめんの一つで、宝相華蒔絵紋と呼ばれる地紋が織り込まれています。
友禅の染柄のない無地場の広い作品の場合には、こうした地紋様のある生地ですと、立体感が生まれます。
構図は、お写真にしっかり映えるよう、地白で浮き上がる桜模様が大きく描かれております。実は、花びら一枚一枚に、胡粉とわずかにピンク色を丹念にぼかし染めされていて、構図は大胆ながら、細やかな仕上がりの作品となっています。
ご使用いただいた生地はコチラ
松岡姫 正倉院宝相華蒔絵紋
正倉院宝物にも見られる蒔絵の文様を、白生地の地紋様にデザインして織り込んでおります。
本来は色無地用の紋意匠ちりめんなのですが、無地振袖として13mの2反使いでお使い頂く例が増えております。
品番 / 1912UP0103
生地の光沢がお舞台に映える、西川流お揃い
さて、一方こちらは、日本舞踊の西川流ご師匠、西川影戀先生の門下生様がお揃いでお創りになられた訪問着です。
ごくシンプルな粋を極めた紋様は、西川流の判字紋様で、二本線「二」点「四」つ、流れる「川」が、見事にモダン意匠になっており、濃紫の地色に浮き上がっております。程よい光沢のある五枚繻子に、わずかながら七宝紋様の織り込みがあり、陰影に奥行があります。
西川影戀先生から、「お舞台でのお揃いの着物だけれど、それだけではないお着物をお創りしたいのです。西川のお稽古に限らず、もっと着ていきやすいお着物にしたいのです。生徒の皆さんが、お茶会に行かれても、ご身内の法事があっても、お友達と観劇される場合でも袖を通しやすい、すっきりした着姿の着物を皆さんでお創りしたいのでお願いします。」とのこと。
生徒様の中には、お背の高い方、小柄な方、身幅もまちまちです。
「二・四・川」のモチーフは同じですが、白抜きでくっきり映えるため、その位置は極めて重要になります。細井先生ご確認のもと、弊社の図案家がご用意した下絵を、お一人お一人のお体に合わせて、裾からの紋様の始まりや、紋様の幅、長さなど、完全フルオーダーメイドでお創りさせて頂きました。
門下生様お一人お一人に最適な一生ものが誕生致しました。
ご使用いただいた生地はコチラ
五枚朱子 七宝
上品な光沢がお舞台での所作に映える五枚繻子です。わずかに細かい七宝の連続紋様があり、控えめで上品な艶を特徴としています。
友禅加工用素材として、重宝です。
品番 /6104MK0074
友禅師 細井智之(ほそいさとし)
〒621-0806
京都府亀岡市余部町前川原30-27
TEL : 090-7368-0494
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