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白生地を生かす匠

人、時代を読む物づくり

vol.1 岡山工芸株式会社

岡山工芸

創業以来、個性化、多様化する市場のニーズに応えるべく独自の意匠部を置かれ、柔軟な発想でオリジナル商品の開発に積極的な岡山工芸様。
手描友禅のスペシャリストである伝統工芸士資格者3名のもとで約20名の職人さんが技術の向上を志し、日々精進されています。
毎年行われる各種競技展での受賞実績も多数お持ちで、営業部、意匠部、工房と3つに分かれた組織の緊密な連携で、市場の動向、消費者のニーズをしっかりとらえたものづくりが特徴的です。

岡山工芸の手描友禅制作風景
岡山工芸の手描友禅制作風景
岡山工芸の手描友禅制作風景
岡山工芸の手描友禅制作風景

夏物生地の透け感を活かした涼やかな大葉柄

数々の弊社商品をお使いいただいており、その中でもここでは二点をご紹介いたします。
一点目は夏物の紋紗大葉の柄。大葉の絵柄を活かしたデザインで加工を施され、着尺にもコートにも使えるよう製作されています。

生地の紋様を最大限活かすために無地場はあえて淡いグレーの色づかいで清涼感を出し、地紋の大葉の部分に少し重ね合わせるよう、摺り友禅加工で同形の大葉が配されています。

摺り友禅は型紙を生地の上に重ね、その上から刷毛で染料を摺り込んでいく手仕事を極めた伝統技法です。大葉の挿し色は寒色系のブルーとグリーンの凛とした佇まいのモノトーンで構成され、生地のデザイン性を加工で後押しするようなイメージで、素材の透け感を活かした優美な染め上がりです。

岡山工芸ご指定柄の紋紗
岡山工芸様ご指定の紋紗。摺り友禅が見事に呼応しています。

ご使用の生地とおなじ素材(別柄)

紋紗 舞孔雀羽

透かし目の組織である紗に織り紋様が入った盛夏素材。通気性に優れ、着る人だけでなく見る人にも清涼感を与えます。練り糸の使用によるシャリ感も特徴で、塵除けコート地の定番素材でもあります。
品番 / 3201QP0510

濡れ描きで表現されたメインブランド「ゆらぎ」

二点目は工房ブランド「ゆらぎ」の作品で、松岡姫紋御戸代メッシュの生地で、緯糸に純国産糸・松岡姫を使用しています。

まず全体を濡れ描き技法によって、グレー、ブルー、紫、ベージュのモダンな配色で染め上げ、その上に小さな花が素描で表現されています。濡らした生地に絵筆や刷毛で対象物を描く「濡れ描き」は、伏せ糊を置かずに水分を補いながら幾度も色を重ねていく友禅技法です。

生地を濡らすことで染料がじんわりと染みていき、味わいのある独特のぼかし効果が生まれます。これは、工房のブランドコンセプト、「1/f=ゆらぎ」からきているものだそうです。

自然界に存在するものには必ず「ゆらぎ」があります。一定に見えても厳密には何事も一定ではありません。つまり、ゆらぎのない自然物はないということなのです。微妙にゆらぎがあることで、飽きが来ない自然に則した紋様になります。

岡山工芸様では、人の心を落ち着かせる居心地の良さを意味する「1/f(えふぶんのいち)=ゆらぎ」を、作品の共通テーマにしておられ、その中から競技展入賞作も生まれているとか。

素材に、どんな「ゆらぎ」を与えるのか。縦に流れのある模様を染めと紋様でどう活かすのか。着姿をどんなふうに演出するのか。着る人はどのような気持ちに包まれるのか。
素材と加工の吟味に加え、工房ではあらゆる要素を念頭に今日もものづくりが続いているのです。

岡山工芸様作品「ゆらぎ」テーマの濡れ描きを松岡姫白生地に。
「ゆらぎ」テーマの濡れ描きを松岡姫白生地に。

ご使用の生地と同じ素材(別柄)

松岡姫 紋御戸代
つる花 メッシュ(水玉)

緯糸に純国産糸の松岡姫糸を織り込み、経糸には撚りをかけない無撚糸を使うことで、上品な光沢と光に浮き上がる美しい地紋をお楽しみ頂けます。
友禅加工用素材としてはもちろん、色無地素材としてもお使いいただけます。
品番 / 5910RM1012


岡山工芸株式会社
京都市伏見区深草西浦町8-2-2
Tel 075-643-4137/ Fax 075-643-4320
https://www.okayama-kougei.com/

岡山工芸