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白生地を生かす匠

染匠の総合力

vol.13 工芸染匠 成謙

《プロデュース

京友禅の制作は多くの加工工程から成り立っています。各工程に高い水準の技術が必要とされるため、それぞれの分野に特化した職人が制作を受け持つ分業体制が確立されています。この流れを統括・監修するのが「染匠」と呼ばれる、いわば着物のプロデューサーなのです。

成謙様は、京友禅の伝統技法「糸目友禅」を主体として、琳派など格のある古典柄を題材に、斬新な発想と技法で時代をリードする作品を積極的に発表されています。現代のシーンにふさわしい物づくりには定評があり、着物専門誌では掲載の常連、ドラマでの着用着物など、テレビ界からも作品が要望される染匠でもあるのです。

工房内での糸目糊置き
一定の力加減できれいな糸目を

《読み解かれる時勢》

物づくりが独りよがりに走り始めると、いずれは飽きられ、そのうち目を向けてもらえなくなるものです。そこには、着る人の気持ちや時代の纏う空気感を取り込む思考が欠落しているからです。長く支持を集め続けるのはもちろん難しいことです。しかし、染匠としての成謙様には時勢を的確に捉える鋭敏な五感が感じられるのです。どんな商品にも言えることですが、この感覚が研ぎ澄まされていないと、そうそう世間に受け入れられるものではありません。精力的な創作活動こそが、優れた工房であることの何よりの証左ではないでしょうか。また、こちらでは金彩加工と刺繍を除く職人さんが工房内に控えていらっしゃいます。

主だった加工を自社内で行えるという大きな強みをお持ちなのです。いずれも若いプロフェッショナルで、10年20年先を見据える工房の精鋭として活躍されています。デザインから下絵、糸目糊置き、色挿しと、統括するプロデューサーの意図がダイレクトに伝えられる利点はもちろん、顧客のリクエストに対してもより迅速な対応が可能となっています。こうした体制のもと、世の流れを見つめる視点から着物が制作されるわけです。

色挿しに使用される道具類

白場に細やかな陰影を


《格と華やかさ》

若い女性の晴れ着として、まず求められるのは華やかさでしょう。今回、振袖の制作に選ばれたのは先練五枚朱子の雲柄。染めて艶やかに色映えのする生地で、振袖にはうってつけの素材と言えます。お客様の希望で地色は黒。深みを湛えた黒地は他の色を粒立たせてシャープな印象を与えるものです。胡粉で表現された百花図が鮮烈なコントラストを生んでいて、「白」もまたひとつの色として選ばれていることがわかります。そこへつけられたきめ細やかな陰影は、白い絵柄に豊かな表情をもたらし、冴える金彩が全体のモノトーンをぴしりと引き締めました。華やぎの中にきっちり格式まで押さえた仕上りには、やはり時流を捉えた染匠ならではの総合点の高さを感じるのです。

繊細な色挿し工程
バランスを吟味して

置かれる金彩加工

ご使用いただいた生地はコチラ

先練り五枚朱子 雲霞

先練五枚朱子 雲霞

光沢があり、染色して色映えのよい特徴があります。付け下げ、訪問着から振袖までと用途も広く人気の高いひと柄となっています。
品番 / 6104MK0092

工芸染匠 成謙

「美しいキモノ」「きものSalon」「七緒」等の数多くの専門誌に掲載されており、数多くの著名人から高い評価を受け様々なお着物の依頼を受け制作されています。